この春、息子が大学に進学することになった。息子よ、おめでとう。
国立大学に一発合格、親孝行である。県外の大学のため、いろいろとお金がかかって父ちゃん大変であるが、かわいい子にはなんとやら。存分に、大きくおなり。
で、進学祝いにと私が迷わず選んだのが万年筆。もちろん、新潟市中央区古町通6の「天祐堂」(こちらの記事をどうぞ)である。創業約100年、ペン先の調整・メンテナンスもお任せの老舗だ。思春期突入以降、あまり喋らなくなった息子を連れて、店を足を運んだ。
どうせなら「一生モノを持ちたい」と思うのは、ある程度の人生経験を積んだ人間の発想だろう。使っては捨てる大量消費の商品たちに散在したり、失敗したりを重ねないと、一生モノの価値はきっと実感しづらい。そう考えると、世の中、本当のところはあまり豊かではないのかもね。
さて、タブレットやスマホで育った息子は、万年筆と言われても全然、ピンと来ていない様子。親父としては百も承知で、これを選んでいる。今は一方的なお祝いの品でも、いつかその良さに気づいてくれればいいという、親の思いはまったく、気長である。そして、たとえ不愛想な息子でも、大きくなっても、いくつになっても、注ぐ愛情は無条件なのである。
「天祐堂」では万年筆を買うと「おまけです」(ご主人)と、12本入りのカートリッジを付けてくれる。 とてもうれしい。 おそらく、どんどん使ってほしいというご主人の願いと思われる。使わないとインクでペン先が固まってしまうという、万年筆愛もあるのかも。 量販店や大型店、ネット通販では得られない、心のやり取り。町の商店ならではの魅力は、これからどんどん見直されることだろう。