一生モノの道具たち

肉厚で堅牢な、こだわり派の逸品。いかにも信用できそうな革ブーツ 安藤製靴のNERO

  SDGs(持続可能な開発目標)、ESG(環境・社会・ガバナンス)といったキーワードが、あちこちで語られるようになっている昨今。大量生産・大量消費で生活の豊かさを追求する社会はそろそろ終わりということだろう。

 時代を超えて愛用できる一生ものを持つのは、心地いいものである。私は万年筆はパイロットの手頃の品を、カメラはライカM3を所有しているが、手にしているとなんとなく気持ちが豊かになってくるような感じ。蘊蓄はいろいろとあるのだけど、いいもの、一生モノは理屈を軽々と乗り越えた存在感を放っているもの。また実際使ってみると、何とも言えない幸福感に包まれるものだ。

 さて。秋冬に履くブーツを買っておこうと思い立ち、探しているうちにたどり着いたのが、ダナーのブーツ。ネット検索で、OO7の映画でダニエル・クレイグがダナーを履いていたとの情報。「ダニエルボンド、カッコいいし、じゃあ思い切ってダナーを買おうか」と何故かならず、どうせなら一生付き合えそうなバッチリ本革のブーツがいいなと、もっと調べるうちに見つけたのが、安藤製靴。ダナーつながりだ。

 安藤製靴は、かつてはダナーの製靴も請け負っていたという、東京の革靴のメーカーさん。通販もやっているが、アマゾンや楽天への出店はなく、ネットの場合は店のホームページから行うメール注文のみ。しかし、錦糸町に曜日と時間を限定して開いているショップがあるという。大衆迎合しない感じがとても気になり、実際に足を運んだのが昨年のこと。  革靴やブーツのことはよく分かりません。正直なところ。が、素人にもビンビン伝わる存在感が、ショップに並んだ靴たちには確かにあった。「考えるな、感じろ」とはブルース・リーの教え。直感やフィーリングは大切だ。

で、二度目に店を訪ねた去年の秋に購入したのが、このNERO。

製靴法はノルウェージャンウェルト。レザーはイタリア
ベスタ社オイルドケベックを使用。

と、HPにはある。どれほどの価値があるかは分からないので、これから勉強しようっと。ハトメは安藤製靴のオリジナルパーツとのこと。これは、なんとなく分かる。そういう話におやじは弱い。

 とても肉厚な革。この違いも分かる。伝わる。「一生もの」として信じられそうな、そして買ってよかったと思わせる重厚感。そうえば、クラカメブームに乗ってHASSELBLAD 500C を買った時も、似たような感動を味わった。初期もののハッセルは鋼が肉厚で、パーツへのこだわりもムンムン漂っていたなぁ。

 手に持つとズシリと重いNEROだが、実際に履いてみると重さを感じさせることはないから不思議。

ソールはビブラムソール。

中はこんな感じ。

革のブーツを履き慣らすのは初めてなのでよく分からないが、歩き心地がちょっと固かったのでインソールを入れてみた。以前、履いていたが壊れてしまったソレルのブーツのやつを再利用。捨てずにとっておいて、よかったよかった。

安藤製靴×ソレル 勝手にコラボブーツ。

オリジナルの状態に比べて内部の蒸れなどはどうなるのか、若干心配だが、まずは履きこんでみよう。

革靴にありがちなことなのか? 歩いているとくるぶしの部分(左足のみ)が足に当たり、または擦れて若干痛い。解消法は、履いて履いて、革を足にフィットさせることだろうか。

うろうろ歩いて足に慣らしていこう。エイジングや手入れなど、一生ものの革靴の愉しみがいろいろと待っていることだろう。