大阪の冬の風物詩、「大阪・光の響宴2023」が始まっている。
11月3日のスタート時は気温27度、異常な暑さだったが、11日土曜は一転、夕方の気温は13度前後で冬気分となった。
「御堂筋イルミネーション2023」、御堂筋界隈をブラブラ散策。
綺麗な光景を、のんびり歩きながらひたすらうっとり眺めればいいだけのことなのだが、それも芸がないので、ワンダー要素(wonder と wander)を少々。
梅田から難波にかけて、900本以上植樹されたイチョウの並木で有名な御堂筋。景観は大阪市指定文化財に指定。秋には種を付け、オフィス街の歩道にポトポトと。美味しいギンナンがたっぷり道に落ちてくるのだが、匂いが独特のため「臭い」との苦情も大阪市に多く寄せられるとか。イチョウは雄株と雌株、オスとメスがある樹木。匂い対策として、倒木した木は雄株を選んで植えているとか。
また、イチョウにはメスをオスにする秘策がある。その方法は、接ぎ木(つぎき)。
雌株の枝に雄株の枝を接合すると、その接合部から上は雄になる。ヒトで言えば、性転換手術のようなもの。
また、イチョウはジュラ紀に繁栄したものの、その後、野生下では絶滅した樹木。ヒトが古代にわずかに生き残ったイチョウを発見し、植栽してきたもので、「生きている化石」と言われる。
確かにイルミネーションは美しい。「綺麗だなー」とつい、見とれてしまうけれど、イチョウの身からすれば、子を増やしたいだけなのに「臭い」と文句を言われ、ちょん切られてアイデンティティーを揺さぶられ(接ぎ木してるなら)、電飾をぐるぐる巻かれてジロジロ見られている訳である。ヒトは随分おかしな生き物で、一体全体、何をやっているのだろうと思う。地球上の大先輩である生き物に対して、なかなかの振る舞いだが、だが待てよ、完全絶滅の危機にあったイチョウが結果的にはこれだけ増えているわけで、もしかしたらまんまと植物の策略にハマっているのかもね。
などと屁理屈をこねたところで理屈抜きに、本能的に、イルミを美しいと感じてしまうのは、何故なんだ? もしかしたら、星空を見上げて未知なるロマンを感じ、神話などの物語を紡いできた古代人の感性を、連綿と受け継いできていることの表れなのだろうか。
植物もヒトも、その体は星くずから長い長い時間をかけて生まれたもの。イルミネーションを眺めながら宇宙を感じ、命の起源を勉強してみるというのも、悪くない考えだ。そうだ、図書館へ宇宙の本を借りに行こう。
大阪市の御堂筋の銀杏のHPはこちら。