日々のこと

派遣応募で職場見学、つまり面接に行く。芭蕉や良寛や志ん生落語や、イーストウッドの【軽み】について思う

1年とちょっとの間、正社員として務めた会社を先週、退職した。短期の働き口を求めて派遣求人に応募しており、【職場見学】に行ってきた。

故郷にUターンするつもりでいるのだが、住処の賃貸契約で、1年未満の退去の場合は違約金として家賃2ヶ月分を、2年未満の場合は1ヶ月分を支払えとの契約だったので、今出ていくと1年未満になるため、もう少々、関西で働くことにしたのである。

以前、マイナビワークスに派遣登録しており、そのまま登録を解除せずに籍を残していた。

応募企業を訪問したのだが、先方にとっては面接なのだが、マイナビでは【職場見学】との言い方をしている。派遣勤務なので、お互いの観点は業務内容と持っているスキルのマッチングがメインになる。ジョブ型雇用であり、株式会社オレ(自分)の売り込みでもある。今の私には、この働き方がちょうどいい。ダブルワークも可能だし。メインタスクが消滅すれば契約は終わるし、派遣切りということも起こりうる。

終身雇用などはもう無理があるし、世の7割のサラリーマンは「自分の仕事、なくてもいいんでは?」と思っているらしいのだから、人材流動性がもっとバンバン高まり、このやり方で仕事が続けられるようになれば、世の中もっと面白くなると思う。あと、もっと時給が上がることは必須。時給1500円前後が多い派遣の仕事だが、現在の日本社会では、この収入では自分一人がギリギリ生きられる程度で家族など持てない。ベーシックインカムなり何なり、政治のパワーが必要であろう。

さて、ジョブ型雇用で立場は対等だと捉えれば、面談の気持ちは随分楽だ。58歳の我が年齢を考えれば、最大のアドバンテージは『余裕』だろう。また、これは自分の個性かもしれないが、『軽み』も若者には出せない要素のひとつ。

年を取ると、いろいろなモノやコトを肩から下ろして生きていきたくなるし、実際そうなる。いろいろ詰め込んでいたバッグの中身や持ち物はどんどん少なくなるし、モノだけでなく精神面でも、自分本位のこだわり、人間関係のしがらみ、子育てや家族のこと、などなども適度に適当にやってゆくようになる。まだまだ軽くなりたいと、常々思う。

例えば良寛。多くのものを捨てて托鉢、童との遊び、時々は書をしたためた、晩年の生き方。残された書の数々は、素人が見ても心が和らぐ素晴らしさ。

『不易流行』『軽み』をキーワードとした芭蕉も、似た心境だったのではなかろうか。また、早撮りで有名ながらアカデミー監督でもある、私が大好きな映画人のひとり、クリント・イーストウッドの映画も、最大の魅力は『軽さ』であると思う。

変化が激しく、将来が見えづらい現代社会。『軽み』は大切なキーワードであると思う。

さて、派遣の面談の結果はどうなることやら。いづれにせよ心は軽く、生きてい行こーっと。